「セックスレス」には基準や定義があります。
「レス」といわれる期間の基準を知っておくことは、適切な対策や解決につながります。夫婦の溝が深まる前に原因と対処法を理解することは夫婦関係を良好に保つ上で役立ちます。
この記事では、セックスレスについて、基準や原因、解決方法を解説します。「もしかして私たち、セックスレスなのかも…」と不安の方は必見です。
セックスレスの定義は?
セックスレス・カップルについて、1991年に日本性科学会が以下のように定義づけています。
1.性交(膣内射精を含めて)が不可能2.sexual contactの回避・拒絶あるいは無関心
セックスレスについて|日本性科学会
上記のいずれかが1カ月以上継続した場合、セックスレス・カップルのカテゴリーに入る。
つまり、1ヶ月以上性行為がない夫婦は「セックスレス」に該当します。
1994年にセックスレスの定義が改訂
妊娠や病気の治療などでセックスがしたくてもできない夫婦もいます。期間だけでレスかどうかを決めるのは、難しいことから以下のような条件が追加されております。
1994年に「特殊な事情が認められない状況でセクシャル・コンタクトが1ヶ月以上なく、長期的な継続が予想される場合」という条件がつけ加えられました。
一般的には1ヶ月の性交なしでセックスレスといわれますが、感じ方は人それぞれです。
夫婦・カップルの中には、半年以上間隔が開いたらセックスレスだという人もいます。定義とは裏腹に、世間の認識にはかなりのバラつきがあるようです。
既婚者の半数以上がセックスレスを実感
相模ゴム工業株式会社の調査によると、セックスレスだと思う既婚者の割合は55.2%(※)。半数以上の既婚者がセックスレスを実感しています。
セックスレスは、決して他人事ではありません。夫婦にとって重要な問題であり、実際に多くの夫婦が夜の営みに関する悩みを抱えています。
※参考元:セックスの回数、セックスレス etc|相模ゴム工業株式会社
セックスレスが招く問題
では、なぜセックスレスが問題なのでしょうか?具体的な問題点には、以下のようなものがあります。
- パートナーからの愛を実感できなくなる
- 性欲がたまり、風俗や不倫に走るリスクを高める
- 気持ちのすれ違いによりケンカが増える
- 自分に自信がなくなる
セックスは夫婦にとって大切なコミュニケーションのひとつです。
セックスレスになればコミュニケーションの機会も減るので、パートナーからの愛を実感しづらくなったりすれ違いで不仲になったりするリスクが高まります。
パートナーから求められなくなることで、自己肯定感が低くなるのも大きな問題です。性的な魅力がないのかと落ち込み、ついでに仕事や子育てなどあらゆる方向でも自信を喪失。ネガティブ街道まっしぐらな人生となってしまいます。
このように、セックスレスは夫婦としてだけでなく、人間としての自信を失うきっかけにもなりかねません。心の健康を保つ意味でも、セックスはとても大切な行為です。
ただし、夫婦のコミュニケーションはセックスだけではありません。普段からたくさん会話をしたり、愛を伝えあったりすることで、セックスレスでも円満な夫婦もたくさんいます。
セックスレスで夫婦仲が悪くなる場合もありますが、すべての夫婦にいえることではない点も念頭に置いておく必要があります。
セックスレス夫婦になる原因とは?
「1ヶ月」というセックスレスの定義期間が分かり、不安が増した人もいることでしょう。
危機感を覚えたら、対策・解決の前にセックスレスの原因をつきとめることが大切です。ここでは、多くの夫婦・カップルに見られるセックスレスの原因について解説します。
自分たちに該当するものがないか、確認しましょう。
1.セックスをする時間がない
毎日が忙しすぎて、セックスの時間を確保できない夫婦も多くいます。
セックスはとてもデリケートな行為。気持ちやムードを作らなければならないので、夫婦そろって落ち着ける時間が必要です。
しかし、仕事で残業続きだったり子育てで忙しかったりすると、ゆっくりできる時間がありません。中には夫婦で顔を合わせる時間すらないという家庭も…。
特に、働き盛りの年代や、子どもが小さい20~30代の夫婦に多い傾向があります。
2.セックスできる環境にない
2人きりの環境作りができず、セックスの機会を逃しているパターンもあります。具体的な以下のようなケースです。
- 親が同居している
- 子供と一緒に寝ている
- 部屋の壁が薄く、声が聞こえる可能性がある
- 夫の出張が多く、すれ違いの生活をしている
上記のような状態では、落ち着いて夜の営みを行うことはできません。
環境は、自分で変える努力をしなければなかなか改善されません。「今は仕方ない…」と諦めていると、セックスできない期間がどんどん長くなってしまう傾向にあります。
3.タイミングが合わない
夫婦でセックスしたいタイミングが合わないのも、セックスレスにつながる原因のひとつです。
セックスは2人でするもの。自分がセックスしたくても、相手がその気にならなければ良質なスキンシップはとれません。もしもパートナーが気乗りしないまま行為に及ぶと、セックスが苦痛なものへと変わってしまう恐れもあります。
- 仕事でへこんでいるときはそういう気分になれない
- 生理前はいつも以上にしたくなる
- 自分はやりたい気持ちはあるが、相手の気持ちが乗っていない
- 仕事がシフト制で一緒に寝るタイミングが少ない
人によって気分が乗るタイミングなどは様々です。自分の気分に合わせるのではなく、パートナーに合わせることをしないとセックスレスになりやすい傾向にあります。
4.パートナーを異性として見られなくなった
パートナーを性的に見られなくなることで、セックスレスになってしまう夫婦も珍しくありません。
恋人から夫婦に関係が変わると、性に関する見え方も変わっていきます。「付き合っていた頃は下着姿を見るだけでドキドキしたけど、結婚して毎日見るようになってからは何も感じなくなった」…確かに、と思った人も多いのではないでしょうか?
愛はあっても、一緒にいる時間が長くなれば緊張は薄れていくものです。パートナーへのときめきが減ると同時に、セックスしたい気持ちも減退していき、結果的にセックスレスとなります。
5.妊活のプレッシャー
妊活によってセックスが嫌になる夫婦も少なくありません。
妊活中は、タイミングを見てセックスすることを強いられます。「〇日は早く帰ってきてね」「〇日に向けてお酒は控えて」など、セックスのために何かを制限されることもあるでしょう。
確かに、セックスは夫婦のコミュニケーションであるとともに、子どもを作るための行為でもあります。しかし、セックスが作業化するとプレッシャーばかりが大きくなって楽しめません。
次第にセックスをネガティブなものにしか捉えられなくなり、スキンシップのない夫婦へと変化してしまいます。
6.セックスの必要性を感じていない
「セックスをしなくても十分に幸せだから」というポジティブな理由もありますよ。
セックスは、あくまでコミュニケーションのひとつです。夫婦・カップルが行うものだからこそ重要度は高いものの、なしでも良好な夫婦関係は築けます。
大切なのは、お互いが幸せであること。会話やセックス以外のスキンシップで十分に幸福感を抱けている場合は、ネガティブさなしのセックスレスとなります。
7.子供が生まれた
セックスレスの原因の一つとして、子供が生まれてからセックスレスになったという夫婦は少なくありません。原因として考えられるのは主に以下のような原因が該当します。
- 育児が忙しくなり、疲れ切ってしまっている
- 子供と一緒の寝室で寝るようになって、やる機会がなくなった
- 子供が生まれてから、相手を性の対象として見れなくなった
- 「妻からママへ、夫からパパへ」と愛情が変化した
- 育児の考え方や産後の夫のケア不足による夫婦仲の悪化
子供が生まれることは、生活環境が大きく変わる瞬間です。このタイミングでせっくすレスになってしまう夫婦は少なくありません。
セックスレスの解決方法
セックスレスは、離婚の原因となることも多い重大な問題。セックスの期間が空くことに少しでも「寂しい」「不安」と感じているのであれば、きちんと解決すべきです。
なんとかしたいと思ったら、まずこれから紹介する解決方法を実践してみましょう。
1.夫婦で話し合う
セックスレスは夫婦間の問題となります。そのため、1人で悩むのではなく、夫婦で向き合って解決する必要があります。
セックスレスの原因は多種多様で、夫婦によって解決策が異なります。自分たちがなぜセックスレスとなっているのかを明確にし、原因に合った解決策を考えることが大切です。
2人で取り組むことで、問題解決もスムーズに進めることが可能です。また、夫婦で向き合うことで、心の距離が縮まるメリットもあります。
セックスレスについて夫婦で話し合いをした体験談
3児の母である筆者も、一度夫と話し合ったことがあります。結婚前に比べてスキンシップが減ったことに寂しさが募ったからです。なぜ変わってしまったのかを聞くと、原因は筆者の変化にありました。
「結婚前は、身なりにいろいろ気を遣ってくれていたけど…」
言いにくいであろうことを、夫は勇気を出して打ち明けてくれました。正直にいえば筆者が怒ると思い、今まで言えなかったようです。
筆者が素直に「ごめんね」と謝ると、夫は心底安心した表情を浮かべ、再び私とスキンシップをとってくれるようになりました。
胸につっかえていたものがとれると、安心感からパートナーへの愛おしさがあふれ出し、気持ちが高まることもあります。特に、パートナーが何を考えているか分からないと不安を抱いている人は、一度夫婦で向き合ってみてください。
2.周囲の協力を得る
2人の問題だからと抱え込むのではなく、ときには周囲の力を借りることも大切ですよ。
特に有効なのが、時間がない、環境が悪いといった理由でセックスレスになっている場合です。セックスできない状況にあるだけでスキンシップをとりたい気持ちはあるので、周囲に協力してもらえばすんなり解決できます。
例えば、残業をしなくてもいいように仕事を調整したり、月に1日だけ実家に子どもを預けて夫婦の時間を作ったり。
もちろん、自分たちが工夫して改善していくことも大切ですよ。仕事から帰ったら夫婦の時間を最優先にしたり、子どものそばで静かに愛を育んだり。それでもうまくいかないときは、夫婦円満のためと割り切って身近な人に甘えてみましょう。
3.自分磨きをする
パートナーが「セックスしたい!」と思ってくれるように、自分を磨くのも効果的です。恋人関係だった頃と比べて、今の自分はどうですか?
- 結婚前より太った
- 基本的に部屋着でだらだら
- 普段はゴムが伸びた下着をつけている
- スキンケアが雑になった
大好きな人と結婚したからといって、常に気合を入れた生活をするのは難しいですよね。しかし、あまりにも変化が大きいと、パートナーは戸惑ってしまいます。あなたのだらけた姿に、異性としての魅力を感じなくなることでしょう。
パートナーの性欲を焚きつけるためには、異性としての魅力を出す必要があります。もう一度異性として見てもらえるように、自分磨きを頑張ってみましょう。
「より効果的に色気を出したい!」という人は、ラブコスメを使ってみるのもおすすめです。
フェロモン成分を配合した香水やキスしたくなるリップなど、いろんなアイテムがあります。いつもと違うあなたに、パートナーもドキッとしてくれるかもしれませんよ。
4.デートする
一緒にいる時間が長い夫婦だからこそ、たまには恋人のようにデートしてみましょう。
結婚すると、恋人は家族へと変わります。異性として見る機会が減るとともにセックスに対する欲も減退してしまうので、時々ドキドキ感を思い出させてあげることが大切です。
お家デートもいいですが、非日常感を演出するためにもお出かけしてみてください。わざわざ待ち合わせをしてみたり、家では着ない服を着てみたり。普段と違う過ごし方にパートナーも恋人時代を思い出し、セックスしたくなるかもしれません。
実際に筆者の夫も、おしゃれをして「今日は2人でお出かけしよう」と誘うと大喜びしますよ。そして、デートの日は決まっていつもよりスキンシップが増えます。
セックスレスの状況にあなたが不安を抱いているのと同じように、実はパートナーも寂しさを感じているのかもしれません。落ち着いた夫婦関係も素敵ですが、ときには「夫・妻」ではなく「彼氏・彼女」になってみるのもおすすめです。
セックスレスの定義と夫婦の基準は様々
セックスレスの定義は、一般的には「1ヶ月以上性交渉をしていない状態」です。しかし、夫婦によっては3ヶ月、半年と基準が様々なので、1ヶ月を過ぎたからといって悲観しなくても大丈夫ですよ。
とはいえ、セックスしていない期間が長いのも考え物です。セックスは、夫婦の愛を深める大切なコミュニケーション。心も体も預けられるパートナーだからこそ、いつまでもセックスを楽しめる関係でいたいですね。
セックスレスになるのは嫌だと思っているのであれば、本記事を参考に解決に向けて動き出しましょう。